文房四宝: 書道の必需品に迫る

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はじめに

書道の最も重要な道具と材料は、硯、筆、墨、紙です。これら4つの道具と材料は、「文房四宝 (ぶんぽうしほう)」と呼ばれ、書道の中で最も重要な文房具です。この記事では、これら4つの道具と材料について紹介します。

硯は摩耗しにくく、高い骨董価値を持ち、多くの文人によって愛されてきました。インクを集める薄いくぼみ部分は、「墨池 (ぼくち)」や「海 (うみ)」と呼ばれます。固形の墨を磨る少し高くなっている部分は、「墨堂 (ぼくどう)」または「丘 (おか)」と呼ばれます。墨堂の表面の凹凸で、墨を磨ることができます。

古代には、固形インクは臼のような器具を使って粉末に挽かれました。さまざまな材料で作られた様々なタイプの硯がありました。最も一般的なタイプは、陶器で作られた硯でした。陶器の硯には、硯用に作られたものと再利用された土器の一部から作られたものの2種類がありました。土器を再利用した硯がより人気がありました。

「端渓硯(たんけいけん)」は、中国広東省広州市西部の「老坑水巌(ろうこうすいがん)」で作られたもので、最も有名で最高品質の硯です。中国広東省広州市の西に肇慶という町があります。この町は、西江に面し、東側には爛柯山 (らかざん)(斧柯山 (ふかざん)とも呼ばれる)がそびえ立っています。これらの岩山の間を風が吹き抜け、西江に注ぐ谷は端渓河と呼ばれます。端渓硯の原石は、美しい灰青色で、わずかに紫青色の色合いがあります。いくつかの石には、内側に円があり、まるで鳥の目のように見える薄緑色の斑点があります。これは鉄含有の結節で、眼と呼ばれます。宝石が採掘されると、自然の形と石の模様を活かすように彫られました。硯は水に浸して石の模様を楽しむため、より美しく見えます。

さらに、端渓硯は見た目だけでなく、実用性にも優れています。端渓硯は、墨がよく伸びる、「墨の色と光沢が良い」「墨が早く磨れる」「墨を磨る力が衰えない」「墨堂に蓄積されたインクが乾きにくい」「筆の先が傷つきにくい」などの特性を持っています。端渓硯は非常にキメが細かく、非常に低い吸水性と透水性が科学的に証明されています。これらの特性が、端渓硯を最高品質の硯にします。

筆は書道において最も重要な道具です。筆は素材や毛の大きさによって様々な種類があります。それぞれの筆には特徴があります。代表的な筆には、馬毛筆、羊毛筆、狼毫筆、鼠毫筆などがあり、それぞれに独特な弾力性や柔らかさがあります。

筆の素材

馬毛筆

馬毛筆は弾力性があり、硬筆で初心者にも使いやすい筆です。丈夫で耐久性があり、主に大筆に使われる。鬣(たてがみ)、胴回り、腹毛、尾毛など、ほとんどの馬毛が筆の素材として使われています。尻尾の毛は「天尾(あまおう)」と呼ばれ、馬毛の中でも特に腰が強い高級品です。弾力性を高めるため、大筆の芯毛として使われることが多いです。弾力性が強いので、くっきりとした線を書くのに適していますが、趣のある線や上品な線は書くのは難しいです。主に楷書に向いていています。馬毛を混ぜた筆は、強い弾力を適度に生かした書き味になります。

羊毛筆

羊毛筆と呼ばれる筆には、ヤギの毛のが使われています。羊毛筆は柔らかく粘りがあり、インクをよく吸収するのが特徴です。羊毛は細ければ細いほど上質であるとされています。線の面白さが増しますが、使いこなすには熟練が必要です。使えば使うほど山羊毛の芯が出て色が変わり、自分に合った筆になっていくのが、面白いです。繊細なヤギの毛の筆で線を描くと、毛と毛の間に空気が入り、渇いた筆致になり、表現の幅が広がります。山羊筆の原料は、中国江蘇省の長江下流域で飼育された食用山羊です。他の産地のヤギは毛に弾力がないため、原料にできません。ヤギの毛は部位によって数十種類に分類されています。ヤギの雄の首の細い毛は「細光鋒(さいこうほう)」と呼ばれ、古くから羊毛筆の最高級品として知られています。胴体の一部の毛は細長毛と呼ばれ、最も一般的に使用されています。

狼毫筆、鼠毫筆

狼毫筆はイタチの尾毛の筆です。通常、穂先が30mm以下と短く、毛は弾力性があり、よくまとまります。紙の上で滑らかに動き、「かな」書道の筆としてよく使われます。

鼠毫筆はネズミの髭で作られた珍しい筆です。近年ではネズミのひげの代わりにリスの尻尾の毛が使われます。鼠毫筆は、中国書道の大家 王羲之 (おうぎし) が「蘭亭序 (らんていじょ)」を書くのに使ったと言われています。

筆のサイズ

筆は穂先の長さによって、、中くらいの筆毛、短い筆毛に分類されます。

長鋒: 鋒の長さが軸の太さの6倍以上ある筆のことです。柔らかく使用には熟練が必要ですが、慣れると鋒の切っ先を自在に操ることができます。

短鋒: 鋒の長さが軸の太さ4倍以下の筆のことです。短鋒は長鋒に比べて弾力があり、がっしりした強さのある字を書くのに向いていて、楷書などが書きやすいです。

中鋒: 鋒の長さが軸の太さよりも長く、軸の太さの4倍より長く~6倍未満の筆のことです。初心者のうちは中鋒が無難で書きやすいです。

墨は書道で使われるインクのことで、煤(すす)と膠(にかわ)からできています。煤や膠に少量の香料などを加えて練和し木型に入れて乾燥させ、固形にします。これを硯で水とともに磨って、インクの状態にします。現代では、墨を磨る手間がなくて使いやすい液体の、墨汁/墨液が広く使われています。

紀元前には木炭の粉や石墨(グラファイト、黒鉛)の粉を水と漆で溶いた液が用いられていました。漢代には漆で丸く固めた「墨丸」、松を燃やした煤(松煙)が使われるようになった。三国時代までには膠で固めた扁平な墨が作られるようになり、宋代には油を燃やした煤(油煙)による油煙墨が作られはじめました。

固形墨には「墨は成長する」という言葉があります。上質の固形墨は、製造から約10年以上の年月が経ったもので、墨色の鮮明度・美しさが増します。製造から何年以上経ったものを古墨と呼ぶか明確な基準はありません。数百年使える種類もありますが、古くなりすぎるとその品質は悪くなってしまいます。古墨は実用品としてだけでなく、その見た目の美しいものは、美術品としても扱われ展示されることもあります。

油煙墨: 油煙は、煤の粒子が細かく均一で、黒色に光沢と深味があります。製法は土器に油を入れて灯芯をともし、土器の蓋についた煤を集めて作ります。植物油では菜種油が最適とされますが、他にゴマ油や大豆油、椿、桐などがあります。鉱物油としては、重油や軽油、灯油が使われます。

松煙墨(青墨): 松煙は燃焼温度にむらがあり、粒子の大きさが均一でないため、重厚な黒味から青灰色に至るまで墨色に幅があります。青みがかった色のものは青墨(せいぼく)と呼ばれています。製法は、松の木片を燃焼させて煤を採取するものです。青墨には、煤自体が青く発色するもの以外に、藍などで着色するものもあります。

液体墨: 日本の小学校教員である田口精爾が、「開明墨汁」と名付け1898年(明治31年)に商品化しました。液体墨には、膠、煤、香料の他に、水と防腐剤が加えられています。

書道において紙は、他の道具と同様、作品に大きな影響をもたらします。紙の種類によって、滲みやかすれ、墨色の発色、書き味などが違います。

書道の紙の作り方は、「手漉き」と「機械漉き」に分けられます。基本的に、手漉きの紙を用いた場合は滲みやかすれが出やすく、表現豊かな作品に仕上げることができます。機械漉きの紙では、滲みやかすれが出にくく、初心者でも比較的扱いやすいです。しかし、近年は、手漉きの紙であっても機械漉きの紙であっても、製造工程において滲みを調整する加工が施されている紙も多くなっています。また、紙の厚みによっても特徴があります。一般的には、厚い紙は比較的かすれが出やすく、様々な表現をするのに向いています。一方で、薄い紙は、運筆が軽くのびやかな線を描くことができるため、かな書道などで多く用いられます。

紙のサイズとしては、全紙 (69.5×136cm)、二八(61×242cm)、半切 (34.5×136)、半紙 (24.3×33.3)、短冊 (6×36.3)などがある。練習用にとして、または初心者が始めに使う紙としては、半紙が最もよく使われています。

まとめ

書道の道具は、書道そのものと共に深い歴史を持ち、使い手の技量や表現力を支える役割を果たしています。また、書道家たちは、道具を大切に扱い、自らの書の技術を磨くことで、美しく優雅な文字を描き出しています。

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